急に写真が必要になり、旅行の時に１８人で撮った集合写真から遺影写真を作ることになりました。集合写真で、しかも人数が多い。おひとりの顔は小さいものになってしまいます。

 

それを引き伸ばすので、ピンぼけの写真になってしまいます。

 

考えてみてください。遺影写真というものは見送られた後も、お子様、お孫様、ひ孫へと引き継がれていくものです。そんな大事な写真では、元気なときの姿のままで、思い出してほしいですよね。

 

私にはひとつ後悔があります。私が２７歳の時、父親が４月に、母親が８月に相次いで旅立ちました。二人で惣菜の自営業をしていて、朝３時には仕事をはじめ、夜には付き合いでお酒を飲みに行く。

 

そんな父と、仕事をしながらも家族を支える母でした。私の名前の政昭は、父と母の名前から一文字づつをもらっています。大事に育ててくれたことを、いまでも感謝しています。

 

その時は会社員として忙しく働いていて、看病もままならず、もちろん、旅立つ日がやってくることは考えもせず。旅立ちの日は葬儀会社の方にすべてお手伝い頂いて、あまり記憶が残っていません。遺影写真は父の時には母が、母の時は親戚が選んでくれました。時間もあまりない中で、満足のいく写真ではありませんでした。

 

カメラマンとして活動しているいまだから、あなたには、あなたのご家族には、こんな後悔をして欲しくない。切にそう願います。

 

いま、私は笑顔の写真を撮ることが何よりも嬉しく、年間で１０００人以上の方と関わっています。近所のお子さんからタレントさんまで、たくさんの方を撮影しています。

 

あなたの、そして、あなたのご家族のために。

遺影写真は縁起の悪いものではありません。ご本人にもご家族にも、その顔に刻まれた人生、これから刻むであろう人生を象徴する、とても大切なものです。